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19番目の夢

カテゴリ : 
先週のコラム
執筆 : 
BL 2014-11-25 10:00
『て』天使の夢

  誰も見たことがないのに、天使を好きな人は多い。
 嫌いな人は、いないように思う。「私、天使ってキライ!」と言う人に出逢ったことがない。でも、天使は、本当は幾つも目撃されている。私たちも、気がつけば天使と電車に乗り合わせたり、街角ですれ違ったりしている。
 そう言うと、「えっ、ほんとー!」と、驚かれるだろう。
 天使って、子どもなの? 大人なの? 男、女、それとも、中性? もちろん美形よね? 羽は、羽はどうしているの? たたんでいるの? それとも、飛ぶときだけ体から生えてくるの? そんな質問が山ほど来そうだ。
 でも、ほんと。天使は実在する。
 姿、格好は報告例によってまちまちである。
 15世紀のイタリアの画家のラファエロ・サンツィオは、昼下がりのティータイムに現れた天使を写生したという。彼の描いた天使は、ちょっとふてくされた子どもだった。人間なんて面倒みきれないと困っているような顔である。
 仏文学者の芹沢光治郎さんの出会った天使の一人は、「あほや、あほや」と大阪弁を話していたという。大阪弁の天使! じつに意外な感じがする。
 キリスト世界の影響を受けた人たちの観る天使は、やはりフレスコ画に描かれたように、ギリシャ神話的な姿が多いらしい。中国やアジアの人たちの観る天使は、童子の姿をしているという。ポリネシアや南方の人たちの観る天使は、時には動物や精霊の姿を借りたり、美しい女性だったりする。日本の天使の目撃例もキリスト教的エンジェルが多いけれど、平安時代などは、仏教的影響からか菩薩のような姿だったらしい。天使のことを守護霊とか背後霊と呼んだ時もあった。
 なぜ、各地で違うのか? それは、観る人の主観や受け入れやすいイメージが投影されるからだ。もちろん、天使にも個性はあるから、予想もしない大阪弁をしゃべるのもいるだろう。だが、一般的には、その人に抵抗のないイメージを借りているようだ。時には、子どもに。時には、大人に。男性にも女性にも、白人にも黒人にも姿を変える。仙人のような白髪の老人になることもある。
 ちなみに天使は、人間の数ほどいる。いやというほど存在するらしい。
 天使の役目は、一般に信じられているように、人間の「進化」の手助けである。人間が地上に生まれてきた目的を果たすことができるように、必死に助けている。人の中の優しい心に働きかけたり、「愛」を学べるように努力している。時には、その人間が危ない事故に遭ったり、欲望に呑み込まれないように、歩く道を変えさせたり、友人や親しい人の口を借りて忠告したりもする。良い仕事や良い御縁に巡り合わせたりするのも天使の役目である。
 天使と言うと、人はついマンガや映画的に捉え、その仕事も恋愛や他愛のない日常生活への干渉と思っている人もいるが、じつはそう単純ではない。私たちは、いつも「光」と「闇」の間を揺れ動いている。自分でも気づかないうちに、欲望の虜になり、闇の中に染まっていく。別に悪いことや犯罪をしでかすわけではない。他人の不幸を喜んだり、幸せや成功を妬んだり、ちょっとしたことで腹を立てて人を憎んだり、自分はダメだと否定的な想念に落ち込んだり、もう、ありとあらゆる闇の誘惑にやすやすとはまってしまう。
 そのたびに天使は夢を使って(楽しい夢を見せて魂の振動数を戻す)調整したり、良心を刺激して後悔させたり、愛のある人に手を差し伸べさせたり、と、こちらもありとあらゆる手を尽くして人を助けようとしているのだ。
 なのに、人間は「誰も見ていないから」、「誰にも気づかれていないよ」と、闇の誘惑に手を染める。それほど、この地上で「清く正しく」生きるというのは、至難の業なのである。 
 天使の中には、あなたのかつての肉親だったものも多い。やがて、あなたも地上を去って、霊的な世界の学校(地上のものとは少し違う)で学んでいけば、天使としての役目が待っている。そのときを覚悟、いや、楽しみにしていて欲しい。
 だが、地上に生きている人の中にも、かつての天使が大勢いる。けれど、自分が天使であることを忘れ、堕落してしまうこともある。
 天使の守りは、時に、自分の嫌いな相手や苦手な隣人に姿を借りて現れることもある。それは、あなたの中から「偏見」を無くさせ、あなたの中にすべての生命を慈しむ「慈悲の心」を育てさせるためである。「出逢う人は、皆、菩薩」というのは、このことである。ほら、たった今すれ違った人も天使かも……。  
 じつは今、私の肩にも天使が一人、乗っかって、これを書かせている。
 「ほんまに、こいつはすぐに迷いよってから……」とぶつぶつとぼやきながら。
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